小菅村のお正月に出てくる「ヤマメのマリネ」
「マリネってなんか酸っぱそうだよね...」
そう言いながら一口食べてみると、マリネとは思えない優しい味にどこかおばあちゃんの作るあの優しい味を思い出す。直後に「あっ、ご飯用意しとけばよかった...」そんな後悔が押し寄せてくる「ノリさんのヤマメのマリネ」です。
生産者である横瀬さん(ノリさん)のお家では、正月になるとおばあちゃんが作ってくれていたとか。「なるほど、あの味はここから来ているのか。」
小菅村のヤマメ
小菅村は95%が森林で占められており、その森林から湧き出る水が集まり小菅川になり、やがて都市部にも流れ出る多摩川へと繋がっていきます。
多摩川源流に位置する自然の条件と生産者の努力も相まって、小菅村はヤマメの養殖の発祥地として知られています。手付かずの自然から湧き出る水はとても綺麗で、そこで育てられたヤマメは臭みのない身を持ちます。
マリネに込められた思い
生産者であり、小菅村の「玉川キャンプ村」と養魚場を運営する横瀬さん(ノリさん)は、「ヤマメを塩焼き以外でも食べてもらいたい。あと、冬場の収入かな」と語ります。
夏はキャンプのお客さんやツーリングの方達で賑わう反面、小菅村は冬になると氷点下に達することが多く、道路や水道管の凍結により客足が遠のきます。キャンプ場はその影響をもろに受けてしまいます。
そのようななかで思い出したのが、横瀬家で正月に出てくるヤマメを使ったマリネ。「大人になって教わった祖母のマリネで、ヤマメの新しい味を皆さんに味わってもらいたい。」そのような思いで、商品化に至ったそうです。
小さいヤマメが美味しさを演出する
頭や骨まで美味しく食べてほしいと、比較的小ぶりなヤマメが使用されています。2度揚げしたヤマメは骨が柔らかくなり、さらに揚げたてにお酢を浸すことで、味のムラがないヤマメのマリネを作り上げることができます。
他に使用されているのは、人参と玉ねぎのみとシンプル、しかし、玉ねぎの辛みを取るために手で絞るなど、食材を切ることからパックに詰めるまでを全て手作業で行っています。そのような手のこめられた作業でどこか懐かしい優しい味わいになるのかもしれません。
冷たいまま食べられる。
どういう人にどんな時に食べてもらいたいかを横瀬さんに聞いてみると、「骨まで柔らかくて、味も食べやすいから子どもにもお年寄りにも食べてもらいたい。正月によく食べていたから、家族の集まりとかそういうイベントの時に食べてもらいたい。」とのこと。
個人的には、お酢の酸っぱさや魚の臭みが感じられず、お酒のおつまみにも合うなと思いました。ししゃもの代わりにたまには良いお酒を用意して、贅沢な夜を味わってはいかがでしょうか。
ヤマメの養殖をするノリさん